本投稿は jFuneral.com に 2025/09/27 に記載された内容です
https://jfuneral.com/?p=15159

葬儀DXが描く「新しいお別れの形」

前回の記事で触れた通り、葬儀の現場ではライブ配信やオンライン相談といったIT活用が緒に就いたばかり

だが、これは大きい葬儀屋さんに限ってだ。
小さい葬儀屋さんはまだまともにzoomやGoogle Meet開催やオンライン配信をやったことがない。
いつも自分がどこかのイベントに参加するだけだ。
これらはまだ「既存業務のデジタル化」の域を出ない。
真のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、
顧客体験そのものを根底から見直し、新たな価値を創造するレベルで起こる。

しかも毎回ポッドキャストで伝えているように、DX化というのは戦略である。
戦略は理論的であり、一貫性であり、事業や業務に「なぜ」を応えれることが必要である。

今後、葬儀業界で可能性を秘めるITサービスを、顧客体験のフェーズごとに5つの視点で考察する。

デジタル・ディパーチャーズ

1. 【事前相談フェーズ】「バーチャル式場見学」と「AIプランナー」

現在のオンライン相談は、担当者とのビデオ通話が主流だ。しかし、顧客が本当に知りたいのは「その場所で、どのような式が、いくらで出来るのか」という具体的なイメージである。

  • VR/ARによる式場見学 自宅にいながら、スマートフォンやVRゴーグルを通じて式場を自由に歩き回れるサービス。祭壇のグレードを変えたり、返礼品をARで表示させたりすることで、リアルな質感と規模感を体験できる。 これにより、喪主が高齢であったり、遠方に住んでいたりする場合の負担を劇的に軽減できる。
  • AIによる見積もり&プラン提案 予算、人数、希望する雰囲気(「静かに送りたい」「音楽を流したい」など)、宗教・宗派といった簡単な質問に答えるだけで、AIが最適なプランと見積もりを瞬時に複数提案する。24時間365日対応可能なため、顧客は深夜でも不安を感じたその時にアクションを起こせる。これにより、葬儀社は初期対応の効率化と機会損失の防止を実現できる。

META社とレイバンが9月末に新しいAR/VRサングラスを投入する。

https://www.meta.com/jp/ai-glasses/ray-ban-meta

ユーザはどこにいても会議に参加することが可能になる。

バーチャル体験

2. 【追悼・メモリアルフェーズ】「故人のデジタルツイン」と「永続するオンライン墓」

追悼サイトはもはや珍しくない。次のステージは、より故人の存在を感じさせ、かつ永続性のあるサービスの構築だ。

  • AIによる「デジタルツイン」の生成 故人が生前に残した日記、手紙、SNS投稿、動画などをAIに学習させ、その人柄や口調を模倣したチャットボットを生成する。遺族が話しかけると、まるで故人と会話しているかのような応答が返ってくる。倫理的な配慮は不可欠だが、「もう一度声が聞きたい」という遺族の切なる願いに応える究極のグリーフケアとなりうる。
  • メタバース上の追悼空間(オンライン墓) 仮想空間に故人専用の追悼ルームを作り、アバターとなった参列者がいつでも訪れられるサービス。思い出の写真や動画を飾り、季節ごとにお供え物を変えることもできる。物理的なお墓の継承問題に悩む人々にとって、新たな心の拠り所となる可能性がある。

筆者は5年前からAI仏壇の販売を行ってきた。
故人を偲ぶためだけでなく、故人の情報を生前中にオンプレミスAIサーバーに入れて、その人のあらゆる有益な情報を入れて、死後でも遺された人たちが活用できるようにと。

そして現在は追悼サイトの販売を行っている。

エターナル・メモリー

3. 【香典・事務手続きフェーズ】「キャッシュレス香典」と「手続きナビAI」

葬儀における遺族の負担の一つが、香典の管理と煩雑な死後の行政手続きだ。

  • スマート香典システム 受付に設置したQRコードや、案内に記載されたURLから、クレジットカードや電子マネーで香典を送れるようにする。誰からいくら頂いたかが自動でデータ化されるため、香典返しのリスト作成の手間が大幅に削減される。現金管理のリスクもなくなり、葬儀社・喪主双方にメリットが大きい。
  • 死後手続きのナビゲーションAI 役所への届出、年金、保険、銀行口座、携帯電話の解約など、膨大で複雑な手続きをAIがリストアップし、必要な書類や期限を自動で通知してくれるサービス。入力フォームへの自動入力支援など、遺族の事務的・心理的負担を軽減する。
キャッシュレス香典と決済

結論:テクノロジーは「温かみ」を拡張する

これらの技術は、決して人間の役割や心の触れ合いを奪うものではない。むしろ、テクノロジーが煩雑な作業や物理的な制約を取り除くことで、人間は本来最も重要である「故人を偲び、遺族に寄り添う」という本質的な役割に、より多くの時間と心を注げるようになる

未来の葬儀社は、単なる式典の施行業者ではなく、最新のITを駆使して「最高のお別れの体験」をプロデュースし、葬儀後も続く遺族の人生に寄り添う「ライフエンディング・パートナー」へと進化していくことが求められるだろう。

冷たくないデジタル

https://funeral-dx2025-cov770z.gamma.site

葬儀社は集金そのものをどうするかが課題である。
割賦販売の認可を受けた冠婚葬祭互助会もあれば、信販会社を通じたクレジットカード決済もある。
そして、最近では「ステーブルコイン」というのが出てきた。
しかも決済手数料が3.5%が0.1%今までの1/35だったりする。
遺族もデジタル決済にてお香典の管理が便利になるだけでなく、香典泥棒撃退にもつながる。

そして、どこかの葬儀社のフランチャイズの支配人がロッカーの合鍵を利用して盗むことも出来ない。

重要なのは、メモリアルシステムだ。
霊感商法に結びつける悪人もいるだろうし、便乗もいるだろう。
これらについては月曜日(note公開は水曜日)の「続・葬祭ジャーナル」にてお届けする。

調査: 有限会社ワイ・イー・ワイ 代表取締役 和田裕助
和田裕助は実家が先祖代々葬儀社で本人もエンジニア上がりの5代目の葬儀社の社長。
AI研究家でもあり、1985年の第二次AIブームより現在の生成AIを活用し葬儀業界のDX化を図っている。
過去20年間 日本外国特派員協会(通称外国人記者クラブ)に所属。
準会員連絡委員会にて2000人近くの会員をまとめており、同時にIT委員会委員長を5年務めた。
同じ年数、日本葬送文化学会理事、その後副会長を経たベテラン葬送ビジネス研究家。
「死に方改革®」「旅のデザイナー®」はワイ・イー・ワイの商標。
日本で唯一の「葬送ビジネス専門ポッドキャスター」
限界集落を周り日本人の葬送文化、死生観を長年研究。