本投稿は jFuneral.com からの転記です。
詳しくはこちらをご参照願います
公益と民間の構造的課題
日曜日の【葬祭ジャーナル】を別の視点で説明をいたします。
1. 問題の所在
東京都における火葬料金の高騰が社会問題化している。東京博善株式会社が都内火葬場の約6〜7割のシェアを占める中、同社の料金(約9万円)が公営火葬場(4〜6万円)の1.5〜2倍に達しており、2025年6月には区民葬から脱退が発表され2026年3月には取り扱いを廃止すると、大きな議論を呼んでいる。
2. 制度的背景
2.1 法制度の現状
墓地埋葬法は国の制度であるが、墓地の許認可権限は都道府県・市区町村に移譲されている。一方、火葬場の設置・運営に関する法的規制は依然として国の管轄下にあり、地方自治体の裁量が限定的である。小池百合子都知事も法改正を求めているが、実現には至っていない。
2.2 歴史的経緯
戦後、誰もが敬遠する火葬事業を東京博善が引き受けることで、東京の火葬インフラが維持されてきた。高度経済成長期の1990年頃には、東京の葬祭業界全体が東京博善への依存を深め、収骨容器の準備から火葬まで一括して同社に委託する慣行が定着した。
これは神奈川県など他地域とは異なる、東京23区特有の構造である。
3. 構造的問題
3.1 公益と民間の並存
東京都内の火葬場は以下のように分類される:
- 東京博善(民間・株式会社):6施設(桐ヶ谷、四ツ木など)
- 公営:2施設(瑞江、臨海)
- その他民間:戸田葬祭場(板橋区)など
この混在構造が、料金格差と公平性の問題を生じさせている。
3.2 株式会社としての制約
東京博善は株式会社であり、以下の義務を負う:
- 納税義務:利益に対する法人税の支払い
- 株主還元:配当金の支払い
- 施設維持:自己資金による設備投資(建て替えに20億円以上)
- 収益確保:継続的な事業運営のための利益率維持(約20%)
対照的に、公営火葬場は税金で建設・維持されるため、低料金設定が可能である。藤沢市では1990年代に20数億円を投じて火葬場を建設したが、30年以上経過した現在、老朽化が進んでいる。茅ヶ崎市も同様の状況にある。
3.3 資本の問題
東京博善の親会社である廣済堂(印刷業)の株式が、BAINや村上ファンドをはじめとする投資ファンドの買収対象となった。
麻生氏がホワイトナイトとして介入したが、最終的には中国資本(ラオックスホールディングスの羅会長)に買収された。
この経緯が、料金値上げの一因となっている。
株式会社、しかも上場企業である以上、市場原理に従うのは当然であり、行政による規制も限定的である。
4. 火葬場設置の困難性
4.1 地域住民の反対
火葬場や墓地、葬儀場の新設には、「NIMBY(Not In My Backyard)」現象 -必要性は認めるが自宅近隣への設置には反対 -による強い抵抗がある。
墓地埋葬法でも、かつては民家から離れた場所への設置が求められていた。
しかし、東京都内にそのような土地は存在しない。
結果として、超高齢化社会並びに多死社会の現状では、既存施設の維持・運営がますます重要になっている。
4.2 地域との関係構築
大手事業者は地域の祭事のスポンサーとなるなど、地域社会と深い関係を築くことで、住民の理解を得ている。一方、中小事業者は住民説明会などで直接的な反対に直面することが多い。
5. 公益性と犯罪防止
火葬が公益事業とされる理由の一つに、犯罪防止機能がある。適切な管理がなければ、以下のようなリスクが存在する:
- 遺体損壊事件の隠蔽(過去には、他の遺体に混入させた事例で発覚し闇に葬られたケースがある)
- オウム真理教のように、独自の火葬炉を用いた犯罪行為
- 法の裏はいくらでもかくことができるが葬儀社は番人として犯罪を抑制している
火葬は法律上の義務ではないが、土地利用や公衆衛生の観点から事実上必須となっている。
6. 区民葬制度の不公平性
区民葬制度は、東京の葬祭業組合に加入している事業者のみが提供できる。組合未加入の事業者は、利用者が希望しても区民葬を提供できない。この構造自体が、既に公平性を欠いている。
7. 円安と企業買収
近年の円安政策により、日本企業の外貨建て評価額が大幅に下落している。
特に岸田政権下で円安が加速し、外資による日本企業買収が増加した。
東京博善の買収も、この経済環境の中で起きた現象である。
8. 比較:アメリカの事例
アメリカでは、火葬事業は完全に民間(多くは葬儀社)が運営している。
これが資本主義経済における標準的なモデルである。
9. 結論:冷静な議論の必要性
火葬料金の高騰を批判する際、以下の構造的違いを理解する必要がある:
| 項目 | 公営火葬場 | 東京博善(民間) |
|---|---|---|
| 資金源 | 税金 | 自己資本 |
| 料金設定 | 公共料金(低額) | 市場価格 |
| 納税 | なし | 法人税あり |
| 株主還元 | なし | 配当義務あり |
| 設備投資 | 公費 | 自己負担 |
東京博善は、戦後誰もが引き受けたがらなかった事業を担い、東京の火葬インフラを支えてきた。
法整備が不十分なまま株式会社として運営されてきた結果、現在の問題が生じている。
「高すぎる」という批判は理解できるが、公共料金を基準とすることは、税金による補助と市場経済の違いを無視している。本質的な解決には、以下のいずれかが必要である:
- 国による買収・公営化:ただし、戦後の混乱期にはそれができなかった
- 法整備による規制強化:株式会社への適切な規制枠組みの構築
- 公営火葬場の拡充:民間依存からの脱却
現状は「後の祭り」であり、容易な解決策は存在しない。
感情的な批判ではなく、構造的な問題として冷静に議論すべき課題である。
東京博善は、戦後誰もが引き受けたがらなかった事業を担い、東京の火葬インフラを支えてきた。
法整備が不十分なまま株式会社として運営されてきた結果、現在の問題が生じている。
「高すぎる」という批判は理解できるが、公共料金を基準とすることは、税金による補助と市場経済の違いを無視している。本質的な解決には、以下のいずれかが必要である:
- 国による買収・公営化:ただし、戦後の混乱期にはそれができなかった
- 法整備による規制強化:株式会社への適切な規制枠組みの構築
- 公営火葬場の拡充:民間依存からの脱却
現状は「後の祭り」であり、容易な解決策は存在しない。
感情的な批判ではなく、構造的な問題として冷静に議論すべき課題である。
ただ、一つ黙認してはならないところがある。
中国資本しかも上場企業ゆえにところ構わず式場を建ててくる。
そして住民説明会をお願いしても無視してくる。
廣済堂ホールディングスはあらゆる葬儀社も買収して拡大しています。
今までの葬儀社は零細企業が中心でしたが、コロナで一気に吹っ飛び、
しかもM&Aも増えてきました。
https://maonline.jp/news/20250930k
ただ、中国資本だからというのではなく
業界の淘汰がすでに始まっています。
資本力がないところはどんどん潰れていきます。